白鳥学園、いきものがかり
プルル──────、
…えっ??
送ったはずのメールが何故か私の部屋から聞こえた。
も、もしかして…!
トートバッグを手に取って、心の中で謝る。
「勝手に見てごめんね!」と思いつつ中身を確認。
案の定、
携帯電話が入っていた。
他にも財布や鍵など…それはもう、生活に必要な物ばかり。
こ…これって、累の普段用のバッグとして使ってたの?てっきり仕事終わりに着る服とか入れてあるのかと思ったんだけど…!
…これ、無かったら凄く困るよね?
携帯はともかく…財布と家の鍵は…。
テレビ局から私の家は累の家の反対方向。
遠いわけじゃないけど、直接帰った方が近い。
つまり遠回りになると言う事。
撮影で疲れてるはずなのに。私の家に一度取りに帰ってくるなんて…大変だよね?
チラッ…、
確認したのは時計。
時刻は午後二時。
…ママとパパが帰って来る前にこれを渡しに行って、帰ってくれば怒られないよね?
昔、病院にいた頃を思い出す。
重度の喘息で入院していた時、私はママとパパに内緒で病室を抜け出した時があった。
その時に喘息を起こして、先生達やママ達に迷惑掛けたのを覚えてる。
…怒られたわけじゃなかったけど。
心配かけたからもう病気の時は外に出ないって決めた。
でも…、
累が困ってるかもしれない。
私は深呼吸をして意を決す──────。