白鳥学園、いきものがかり
…わあ、すごい。
緑色の背景と数々の照明。
カメラ機材や大きなモニター。
CM撮影ってこんな感じでやるんだ…初めて見た。
ここに座ってと通された椅子に座り、首に掛けるよう指示された入館証らしきものを付ける。
「もー!駄目じゃないかルイくん!!」
自分の名前ではないのにビクッとする。
…累?
無表情で誰かに怒られている累の姿があった。
まだ早いスウェット姿をしている。
「これはね!彼女と花畑で楽しむ風景のCM撮影なんだよ!分かる?彼女と居るのに、視線を合わせない!無表情!溜息尽くし!なんてあり得ないだろうって話しているんだよ!!」
「…………彼女、じゃない」
累の指差した先には、
猪花 ゆか。
私と同い年の若手な人気モデルがいた。
わ、あ!本物はやっぱり可愛い。
顔小さいし体も細くて…、
「な、なによそれ!」
凄くおしとやかだと思ってた。
──────…見なかった事にします。
「いい加減にいしてくれ!優しく微笑む事も出来ないのか!?」
「そ、そうよ!私相手じゃ無理だって言いたいわけ?」
あわわわ……。
無表情、だけど私には良く分かる。
累がとても不機嫌で今すぐにでも、手が出そうな事が。
「たくっ…話にならない!おい!マネージャー!」
「は、はいぃ!」
象山さんが猛ダッシュで監督らしき人の元に向かった。