白鳥学園、いきものがかり



累ってば…、また象山さんに迷惑を掛けて…。


だから疲れてた顔をしてたんだ。…いつも疲れ切ってるとは思っているけど、今日は特に拍車が掛かってる気がしたのはきっとそのせい。


ふぅ、と溜息を吐く。



「──────…紬?」



名前を呼ばれた気がして顔を上げる。
累が私を見て目を大きく見開いていた。

どうやら気のせいじゃなく、本当に呼ばれたみたい。


あっ…と。ど、どうしよう。
とりあえず、手を振ればいいかな?


ひらひら、と手を振ると人を掻き分け私の前に来る。

全員の視線が私達に集中した。



「どうして、ここに」

「え、っと…忘れ物を…届けに、」



す…すごく見られてる…!



「象山さんに渡しておいたから、あとで受け取ってね…えっと。じゃあ私はこれで…」



帰ろうと椅子から立ち上がった時、


「ッ…!」


偏頭痛がした。

こめかみを抑える私の身体を抱き寄せる累。


「…頭痛?」

「う、ん。ごめんね」


香水の匂いで頭痛くなったのかもしれない。
さっきは何とも感じなかったけど…。

ここ…凄いキツイ香水の匂いがする。

……そうだよね。沢山人がいるもの。色んな匂いが混ざるのは当たり前だよね。



慣れない匂いがきっと頭痛の原因。


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