白鳥学園、いきものがかり
あまりの事に思考が一時停止。
目の前でひらひらと翔が手を振る。
「ッ──────…!」
翔の身体を押し、唇を抑えた。
「なんで…」
「うふふ、かわぁいい」
「ふ、ふざけないで…!」
だって、こんなの。
「僕でがっかりした?」
…っ、それは。
「寧ろ僕で良かったでしょ?知らない人とするより、」
「っ…だけど、私」
──────ファーストキスだったのに。
「翔は…慣れてるかもしれないけど、私は、」
「僕が慣れてる?誰が言ったのぉ?」
え?…だって、翔なら。
PVでよくそう言うシーンが出て来てたし。
新曲の物なんてかなり近かったし…唇触れそうだった、よね?
「僕ね。紬ちゃんとしかした事無いよ?」
「……へっ?」
変な声が出てしまった。
正直に、「意外」と思ってしまったから。
「だって…え?…えっ?でも、」
「うふふ、紬ちゃん。そんなに挙動不審にならないで?」
でも…だって。
そんな事ばかり巡らせる。
「僕の事きらい?」
首を横に振る。
「僕との、いやじゃなかったでしょ?」
っっ…、
顔が赤くなる。
そして私は小さく首を縦に振った。
翔はまた笑うと、私の頬を包んだ。
「これは僕たちだけの秘密にしよっ?」
「っっ…う、ん」
私は目を強く瞑ったまま、頷いた。