白鳥学園、いきものがかり
02.
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パパとママが日本を発って早五日。広いお家で一人ぼっちにも拘わらず、寂しさは少なめ。
それもこれも、
みんなが来てくれるお陰。
「紬。俺がやりますよ」
「あっ…凪…おはよ、う…」
…また間に合わなかった。
いつの間にか来ていた凪はフフッと笑って、私の手にあるネクタイを取る。
最近は一人でも出来るように練習してたんだけどな。
…なんて言葉は言えなくて。
今日も私は凪にネクタイを締めてもらう。
「出来ましたよ」
「いつもありがと」
あの日の言葉の通り、凪は毎朝私のネクタイを締めてくれていた。
凪が来るより早くやってしまおう、と思っているのに。何故か毎回間に合わない。
…まあ、凪の方が上手いから。
これでいいんだろうけど。
正直子供扱いされ過ぎている気がしてる。
もう16歳になったって言うのに、私の幼なじみ達はいつも通りだ。
「気分が悪くなったりしていませんか?」
「うん。大丈夫だよ」
「薬は…全て服用したようですね」
凪はダイニングテーブルに散乱する薬の袋と水が半分入ったカップを見た。
「それでは、学校に向かいましょうか」
「あ…でも、実くんと約束してて、」
約束…というか、昨晩パパに電話で言われた事だけど。
「実くんがこれから送り迎えをしてくれるらしいの」
心配したパパが実くんにお願いしたらしい。それを実くんは二つ返事でOKしてくれたと昨日言われたばかり。
メール画面には『もう着く』の文字が並んでる。
きっともうそろそろチャイムが鳴る。