白鳥学園、いきものがかり
……ッ、
行けなかった。
脚がすくんでしまって。実くんにしがみつくみたいに、凪に背を向けた。
「……どうして、俺の所に来ない?……紬…?」
凪の声がする。少し震えている気がするのは気のせいなのかな。
それとも——————、
私自身が震えているからそう感じるのかな。
「つ、紬…すみません…、突然怒鳴ってしまったから、驚いてしまったんですよね?
…紬に対して…言った台詞ではなく…、」
段々と、か細くなっていく声。
話さないと。
凪と向き合わないと。
”俺と、この男と、
天秤に掛けてみてください。”
さっきの凪の言葉が頭の中を掻き乱している。何度も何度も繰り返し。
傑の胸倉を掴んだ凪の顔。
力強く腕を掴んできた事。
全部——————…、
怖くてたまらない。
「紬!!」
「ひッ…!」
名前を叫ばれて、意図せず出てしまった。
大きく肩が揺れ目を強く瞑る。
「……っ、あ…、」
そんな私の反応に凪は青ざめた顔で声を漏らした。
「す…すみませ…、違う、んです…紬、俺は…」
「その辺にしろ、梟木」