白鳥学園、いきものがかり


——————ッ、ゲホ!


大きく咳をして、喉の奥からヒューヒューと音がした。喘息の症状だった。


そんな、なんで。
今…発作…、



「っ、…紬!!」



凪が呼んでる。
でも返事が出来ない。


「っ、喘息か!?」


実くんが傑に抱えられている、私の顔を覗き込んだ。すごく慌てているみたい。

そんな実くんと凪を横目に、傑は落ち着いた様子。


「鷹埜…せんせ、紬のバッグにあるポーチをとってくれ。雀の刺繍の…嗚呼、そん中に吸入器がある」


テキパキと指示をして、実くんもテキパキと準備する。

でもおかしい。…だっていつもなら、凪が率先してやってくれるから。



「紬、落ち着いて俺を見ろ。
…ゆっくりでいい、吸えるかい?」



すぅ、

薬の味を感じながら、呼吸を整えていく。
吸う度に傑が、


「嗚呼、それでいい。いい子だ」


と言ってくれる。


「落ち着いたか?…でも念の為病院に行こう、紬」

「それなら俺か送る。お前らは学校に…」

「安心してくれ…ださい。紬は俺が責任もって連れていくんで。鷹埜せんせ、は学校に行かないと。せんせとして、な?」


実くんは自分の腕時計を確認した。結構経ってしまったのだろう、顔をしかめていた。


「…傑。待て、俺も紬と、」

「凪——————、お前はまた紬を怖がらせたいのか?」


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