白鳥学園、いきものがかり
「なんで俺に言わなかった?雲雀に何かあったらどうするつもりだったんだ、お前等は」
「紬の飲む薬の種類ぐらい知ってる。
それに合ったやつも飲ませられる。
…お前とは違う」
傑が実くんを睨んだ。
「…自分の方が知ってるってか?」
実くんがそう言うと、五人同時にふっと笑った。声が思わず出ちゃったみたいな…わざとっぽく。
…確かに私より種類もタイミングも知ってる。
正直私よりも、熟知してると思う。
「お前等、」
——————ピピピ、
傑から貰った腕時計から音が鳴る。
「あっ、もうそんな時間」
「…なんだ?」
実くんが首を傾げている。
「えっと、」
「薬の時間だ」
傑が眼鏡を外した。
テレビで見てる顔がこんな近くに。
…眩しい。
「その前に少し何か食べよっか。何食べたい?」
「フルーツゼリーもある。小さいの。食べて」
翔と累が鞄から出したのは、直ぐに食べられるような物。二人は同時に「大したものじゃないけど」と付け加えた。
…これって、老舗の有名なお菓子だよね?
大した物だと思うけど…?
お腹が空いていなかったから、とりあえず小さなゼリーをお口の中へ。
…中にさくらんぼが入ってる。美味しい。
鞄を漁っていた紘がポーチを取り出した。
あっ…と。
言ってなかったことがあった。
「あのね。今日からは」
「こっちが一錠、これが二錠だろ?」
合計三錠。しかも私が言う前から傑の手のひらの上。