白鳥学園、いきものがかり

溺愛中の蛇




目が覚めたら、ベッドの上だった。
ちゃんとパジャマを着た状態で。


どうやって帰って来たのか全く覚えて無い。

それにパジャマはどうして着てるんだろう?
…ママが着替えさせてくれたの、かな?


体を慎重に起こして窓を見る。
暗くなりかけの夕日だった。


…喉、渇いた。


ベッドサイドに水は無い。
キッチンまで取りに行かないと。

ベッドから降りようとした時だった。



ガチャ——————、



「す、ぐる?」

「…紬?」


コンビニの袋を持った分厚い眼鏡の傑が入ってきた。

すぐ横にある勉強机用の椅子に座り、私に「降りるな」と一言。


「でも、喉渇いて」

「買って来たから動かなくていい。どれがいい?」


広げた袋の中には飲み物数本とアイスやゼリー数個。しかも全部私が好きな物や、気になっていた新商品の物ばかり。


「じゃあ、これがいいな」


指差したのは無糖の紅茶。ラベルにスグル(・・・)がプリントされたもので、映画宣伝の為に発売したばかりの新商品だった。


「……これ?」


「うん。だってスグルがいるから、」


みんなの大ファンだから。
出ている物はどうしても選んじゃうんだ。


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