白鳥学園、いきものがかり
身体がべたつく。
こうなったのも、全部傑のせい。
「…っ、やぁ、」
「甘過ぎておかしくなる」
首筋にリップ音がして、顔を逸らした。
唇を噛み締め、目に涙を浮かべる。
「そんな噛んだら血が出るだろ」
唇をなぞる傑に向かって渾身の悪口。
「す、すぐるの…ばかぁ!」
「そんな顔で言うな。逆効果だ」
だけど傑には全く効いてない。でも仕方がない…だって傑に悪い所なんて何もないんだもの。
イケメンで高身長で頭が良くて、演技も上手くて、運動神経抜群。
こんな人に悪口なんて思い浮かぶ?
「…意地悪しないで!」
「あー…、クソ可愛いな紬は」
傑はにやけた口元を抑えた。
「残り1か月で紬は16歳になる」
5月5日、翔と同じ誕生日。
…でもそれがどうしたの?
「俺だけ見てろ、離れるな」
「…す、ぐる?」
黒い瞳に映る自分。真っ直ぐ私を見る傑に胸が大きく音を鳴らした。