白鳥学園、いきものがかり



「…風邪引く前に着替えないとな」


額に唇が触れて手首が自由になった。
新品のネクタイは既に皴だらけ。


迷うことなくチェストからパジャマを引っ張り出す。

…なんでこんな所まで知ってるんだろう?


そしてもう一つ。


「下着も新しいのにするか」

「っ!?」


上から二段目の引き出し。


な、なんで…!?


引き留めようとベッドから出るが、それと同時に足の力が抜けた。床に膝が付く前に傑が私を支え抱える。


「急に立つからだ。着替えもしてやるからここで待ってろ」


そう言ってからまた額にキス。


「っ…!今日は雑誌の撮影があるんでしょ!遅刻しちゃうよ!」

「ああ、来週に持ち越したから心配しなくていい。紬の方が大事だからな」

「ま…またマネージャーさんを困らせたんでしょ!?」

「あいつが俺を芸能界に無理矢理誘ったんだ。我儘も大目に見るって言ってな。それぐらいやってもらわねーと、だろ?」


< 39 / 157 >

この作品をシェア

pagetop