白鳥学園、いきものがかり


——————バゴッ!


「ひゃ…、」


頭が取れるのでは、と思うぐらいの音がして、紘が目の前から消えた。

吃驚して目を瞑るとまた誰かの腕の中。殺気を放つ、茶色よりの金髪な彼が私を抱き寄せていた。



「サカるな、猿が」

「な…(なぎ)?」



花粉症でもない彼が黒いマスクを付けている。

怖い顔をした凪と目が合う。

さっきの顔は何処に行ったのか、優しく微笑み、私の手の甲に口付けをした。


甘い、リップ音に頬が赤く染まった。


「おはようございます、紬。制服、よく似合っていますね。とても愛らしいです」


キラキラ。
目元だけしか見えないのに輝いていた。


襟足が長く、右耳に金色のピアスを沢山付けた彼は梟木 凪(きょうぼくなぎ)

見た目は不良さんだけど、優し……。



殴られた頭を抑え悶絶する紘が横目に映る。

さっきの翔よりも遥かに痛いであろう、あの音が頭の中で再生された。


や、優しいんだけど。
たまに怖いだけなの…たまに。



「…紬、」



傑が手を伸ばしていた。
これは「手を握れ」って事。


…もう、子供じゃないのに。

だけど、その手を掴もうとしてる私は甘えてる。


伸ばした指先が、触れたのは傑じゃない手。

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