白鳥学園、いきものがかり
「そんな。悪いよ」
凪も毎日忙しそうだしね。
今はお家も遠くなっちゃったし。
毎日車で三十分、電車三駅分の距離をこうやって会いに来てくれていた。
…前は隣同士だったけど。
凪のおじさんとおばさんが離婚してから、おじさんの会社近くのマンションに引っ越した。
これは過去の話。
凪と私が小学三年生の時。
昔は泣き虫だった凪だけど…今は私の方が泣いてるよね。
「何も心配いりませんよ」
私の手を握り、微笑む凪。
「これからは俺と一緒に居ればいいだけですから」
「?、どういうこと?」
小さい時から、もうずっと一緒にいると思うけど。
絡む指が恋人繋ぎへと変わった。
ぎゅっと強く、握られる。
「俺と一緒に居たいですか?」
躊躇しながら一回、首を縦に振った。
…だけどきっといれない。
私はただの幼なじみだから。