白鳥学園、いきものがかり
「あはは、かあわいい。怒ってるの?お口ぷくーってなってたよ~?」
「んむぅっ!」
怒ってそっぽを向く私の頬を包んだ翔。
思わず出てしまった変な言葉にちょっぴり恥ずかしい。
上げられる顔、包む手。
上手く話せない。
満面の笑みだろう、翔の頬はピンク色に染まってた。
「ねぇ、僕まださっきの事怒ってるんだよ?」
多分電車に乗る前の話。
「だからさぁ…後で僕のお願い聞いてね?」
…お願い?
なんだろう?
難しい話じゃないといいんだけど…でも翔の事だから、また「ぎゅーして!」とかかな?
「───いい加減にしてください」
背後の凪に引っ張られ、胸にすっぽり。
正面の翔は「あらら~」と笑っている。
「紬、今朝の事はもう忘れましたか?」
「えっと…覚えてるよ?」
「それなら守ってください」
そう言うと、抱きしめる力を強めた。