白鳥学園、いきものがかり
鰐の独占欲
HR終了後。
勉強が嫌だと嘆く周りの生徒と違い、私は一人ワクワクしていた。
鞄から教科書とノート、筆記用具を取り出す。
「数学…だね!」
私の席に集まる翔と凪、それから紘にそう言うと三人共キョトンとした後で小さく笑った。
「紬ちゃん。授業楽しみなの?」
「うんっ!」
初めての高校生活。
ほぼ初めての学校での授業。
凄くドキドキしてる。
——————でも一つ難点が。
いたた…。
擦ったのは腰。
というより尾骶骨。
椅子が硬くて痛むのだ。
…ずっと座っていられる、かな。でもみんな座ってるし…私も頑張らないとだよね。
「紬、これ使え」
座り直そうとした時、紘に渡されたのは薄めのクッションみたいなもの。
「?、何に使うの?」
「椅子に敷け」
「え?でも…」
「敷かねぇ、なら俺の上に座るか」
「…だ、だいじょうぶ…ありがとう」
流石にそれは困るよ…ただでさえ朝から注目浴びちゃったのに。