白鳥学園、いきものがかり
どうしよう。
また困らせちゃう。
「おいで」
手を差し出す傑に躊躇する。
だってまた注目されたら…。さっきもバレかけたのに…今度は、本物だって分かってしまうかもしれない。
大丈夫と言いながら無理矢理笑顔を作る。
本当はちょっと気分が悪いけど、迷惑かけるわけにはいかないもの…。
「ひゃあ!」
「おいでって言っただろ」
引っ張られお姫様抱っこされた。
「す、傑…降ろして」
名前を言ったら気付かれそうだから小さい声で。
「具合悪いんだろ。少し休むぞ」
そ、うだけど。
「紬?何処か痛い?」
「え!?大丈夫紬ちゃん!」
翔と累が慌ててる。
「紬、バック漁んぞ」
紘が私のスクールバックの中を漁る。悩むことも聞くことも無く取り出したのは、右下に小さく雀が刺繍されたポーチだった。
中身は沢山入るピルケースが二つと吸引器。