冷徹上司の、甘い秘密。
「友達がここのスイーツビュッフェの予約できたから一緒に行こうって誘ってくれてね、今食べてきたところなの。二人は?」
「……まぁ、似たようなもんだ」
「奇遇ね!」
恭子さんのお友達だという女性に軽く会釈をすると、
「私この後用事あるから先帰ってもいい?ごめんね私から誘っておいて」
「そうなの?全然大丈夫よ。じゃあまたね」
そのまま帰ってしまって。
恭子さんも帰るのかと思いきや、課長と話し始めていて。
二人の会話が終わるのを待つ。
「え、じゃあ綾人が予約したの?」
「……悪いか」
「そんなことないわよ。ただちょっと意外だっただけ」
意外?そんな言葉に疑問を持ちながらも。私は口を挟むことができない。
……あぁ、居た堪れない。何この空間。何これ。私ただの邪魔者じゃん。
私は一体、何してるの?
「……金山?」
課長の呼びかけにも、答えられるほどの余裕が無くて。
……馬鹿みたい。自分が、馬鹿みたいだ。
滲む涙を、溢さないようにするのに必死だった。