冷徹上司の、甘い秘密。



 着いた先はいつぶりかの課長の自宅マンションで。


 繋がれた手はそのままに、滑らかにオートロックを開けてエレベーターへ。


 七階で降りて小走りで廊下を進み、704号室へ。


 入った途端、玄関ドアに体を押し付けられた。


 ふわりと私を包む課長の香り。



「……んっ」



 触れた唇。すぐにそれは深くなって。


 私の顔に添えられた左手が、顔を横に背けることは許さないと言っているのを感じる。


 空いた右手はドアの鍵をゆっくりと閉めて、私の太ももをいやらしく撫でていた。


 徐々に上がる息。恥ずかしくて、気持ち良くて、苦しくて。


 離れたと思って呼吸を整えているとすぐにまた手を引かれ、靴を脱いで鞄を取られてその辺に置かれた。


 連れて行かれた先は寝室で。


 ダブルベッドに仰向けに押し倒される。


 顔の両隣を大きな手が囲み、真上からその端正な顔立ちが私を見下ろしていた。



「……課長」


「違う」


「……綾人、さんん!」



 言い終わる前にまた甘いキスが降ってきて。


 気が付けばその大きな手は私の頬を撫でていた。


 気持ち良さに頭がおかしくなりそう。


 どれくらい経ったか、ようやく離れた唇に、ゆっくりと目を開けた。
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