冷徹上司の、甘い秘密。



「なら歩の家行って着替えとか荷物取りに行こう」


「あ、はい」


「車出すわ。家までの道案内よろしく」



 その言葉に、目を丸くする。



「かちょ……じゃなかった、綾人さんって車持ってるんですか?」


「あぁ。休みの日しか乗らないけどな」


「そうなんだ……」



 社用車に乗っているところ以外見たことがなかったから、知らなかった。



「前回は時間無かったし歩ん家どこか知らなかったからタクシー呼んだけど。今日は時間あるしな。何より歩の家の場所知っておかないと困るし」


「……」



 そして意地悪く笑った綾人さんが、鼻先が触れそうな距離まで私の顔を引き寄せて。



「──俺、お前の"彼氏"ってことでいいんだよな?」



 試すようなその言葉に、私はゆっくりと頷く。


 その瞬間に唇が重なって。


 食べられるような激しいキスに一気に身体が熱を持つ。



「……やべ。行く前にもう一回、ベッド行く」


「え!?」


「歩が可愛すぎて、無理だわ」


「っ」



 突然飛び出す甘い言葉に、心臓を鷲掴みにされる。


 そのままお姫様抱っこされたかと思うと、寝室に連れて行かれて何度も何度も甘く鳴かされるのだった。

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