冷徹上司の、甘い秘密。



「え!?じゃあ恭子さんに相談してたんですか!?」


「あぁ。どちらかって言うとアイツが面白がってただけだ」


「なんだ……そうだったんだ……」



 布団の中で綾人さんにぴったり寄り添いながら余韻に浸っていた私は飛び起きた。


 どうやら恭子さんがしょっちゅう綾人さんをランチや食事に誘っていたのは私のことを相談していたかららしい。



「……なんだよ」


「てっきり恭子さんとより戻したんだと思ってました……」



 勢いを無くした私は起き上がった体をそのまま再び倒し、綾人さんの胸に寄り添う。


 そんな私の行動に綾人さんは満足げだった。



「戻すわけないだろ、アイツと付き合ってたのは昔の話だって言ってだろ?」



 呆れたように話す綾人さんは、本当に恭子さんに対する気持ちは無いように見える。


 それならば、じゃあ私があんなに悩んで綾人さんを避けていたあの時間はなんだったんだと頭が痛くなる。


 ただの勘違いで、自分が傷付きたくないからって逃げて。馬鹿みたいじゃんか。



「……お似合いって言われたクセに」


「あんなの言わせとけばいいと思ってたんだよ。お前が勘違いするくらいなら否定すべきだったって反省してる。悪かった」


「……」


「でも、つまりはお前は恭子に嫉妬したわけだ?」



 見上げると、どこか嬉しそうなその顔が悔しい。

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