冷徹上司の、甘い秘密。
「……はい」
「ははっ、素直でよろしい」
子ども扱いされているようで若干腹が立つけれども。それ以上に今隣に綾人さんがいることが嬉しい。
何はともあれ恭子さんとは何も無かったようで一安心した。
それよりも衝撃的だったのは。
「……社内恋愛禁止!?」
「お前知らなかったのか?まぁ厳密に言うと社内恋愛は良いけど、同じ部署での恋愛は禁止ってことだ」
「だって昨日"見せ付けてる"って……」
「あぁ、あの男に腹が立ちすぎてそれどころじゃ無かった」
真顔で頷く綾人さんに、私の表情はどんどん曇っていく。
そんなこと、聞いた覚えもないよ……。
「じゃあ、会社で私達のことがバレたら……?」
「まぁ、俺か歩か、どっちかが異動だな」
至極当然、とでも言いたげだ。
「そんなあ……」
そんなの、どう考えても私が異動になるじゃないか。
落ち込む私に、綾人さんは私の頭を撫でる。
「だから、この事はこれからは絶対に誰にも言ってはいけない。わかったな?」
「……はい」
私を安心させるように笑った綾人さんに、私は大きく頷いた。