冷徹上司の、甘い秘密。
「金山、良かったね!おめでとう!」
「相田。ありがとう」
仕事終わりに相田と飲みに来た私は、綾人さんに許可を取った上で綾人さんと付き合うことになったことを相田に報告していた。
「でも社内恋愛が禁止だなんて全然知らなくて……」
「え!?知らなかったの!?新入社員研修であんなに忠告されたのに!?」
「……え、そうだったっけ……?」
「そうだよ!もう、金山聞いてなかったわけ!?」
「うん……。それが全く記憶に無くて……」
苦笑いする私に、相田は呆れたように溜息を吐いた。どうやら社内恋愛が禁止だと言うことを知らなかったのは私だけだったようだ。新入社員研修なんていつの話だよ。そう思うけれども。
確かに私も当時しっかり聞いていたら何年経ってもそれだけは覚えていたのだろうなと思う。
つまりただ単に聞いていなかっただけなのだ。
当時の自分が情けない。悔しい限りである。
「で!どっちから告ったの!?」
「え……いや、どっちとかそういうのじゃ……」
「何々、どういうこと!?」
根掘り葉掘り聞いてくる相田に私は逃げることができない。
「今日はぜーんぶ喋ってもらうからねー!」
相田の笑顔がとても怖くて、漏れなくほとんど全部を話す羽目になってしまったのだった。