冷徹上司の、甘い秘密。
「か、課長は今日はお一人で来たと仰いました?」
「あぁ」
「……甘い物嫌いな課長が?」
「……あぁ」
「ってことは……え?えーっと、それはつまり。
……実は、甘い物が……好きだったり?」
「……」
まさかだった。驚きすぎて何も言えなかった。
バツの悪そうな、どこか恥ずかしそうな初めて見るその表情は、私の問いを肯定しているもので。
え?じゃあ今までの"甘い物嫌いな課長"像は一体……?
ダメだ、情報量が多すぎて頭がパンクしそう。
「……とりあえず、時間無くなるんでこれ食べてからでもいいですか」
「……そうだな。俺も時間無くなる」
「……」
悩んでいる時間が勿体無い。
お互い無言で取ってきたケーキを食べる。
でも正直味なんてもうわからない。とにかく衝撃的すぎて頭の中を色々なことが駆け巡っている。
そんな状況でも時間まで食べ尽くし、お腹いっぱいの状態で出た会場。
その足で数分歩いた先にある同じホテル内のラウンジで向かい合って座る。
注文したレモンティーの氷がカラン、と鳴った。