冷徹上司の、甘い秘密。
「でも私が気にするから」
「そう?わかったよ。なんかムズムズするけど」
ふはは、と笑った眞宏と皆で写真を撮る。中央で映る眞宏はとても幸せそうで。私までその笑顔から幸せを感じるほどだ。
そんな満面の笑みの眞宏が私に、何を思ったかその手に持つブーケを差し出した。
「え……?」
手に渡された、色とりどりのガーベラの花で出来た小さなブーケ。
「結婚式やるって決まった時から、決めてたの」
「なに、を」
「ブーケは金山に受け取って欲しいなって」
一瞬何を言っているのかわからなくて、ブーケを手に持ったまま眞宏を見つめた。
「ガーベラの花言葉、知ってる?」
ゆっくりと頷くと、眞宏はとても綺麗に微笑んだ。
「次は金山が幸せになる番だよ」
その言葉に、どれだけの想いが込められているのかを、私は知っている。
滲んだ涙を溢さないように、上を向きながら口元に手を添える。
ガーベラの花言葉は、"希望、前進"
「ありがとう。眞宏」
眞宏からの不器用なメッセージに、私も微笑み返した。