冷徹上司の、甘い秘密。
「どうなんですか!教えてください!ずっと気になってるんです!」
必死な様子が何故だか笑えてきてしまって。
お返しとばかりに白石ちゃんの耳元に顔を寄せて、一言囁き返す。
その瞬間、白石ちゃんは力が抜けたようにガクッと項垂れた。
「うわー……何ですかそれ。幸せオーラ全開じゃないですか。眞宏さんも一年経っても幸せ増してるし……。なんですか皆さん、何でそんなに幸せそうなんですか……。羨ましい。私も幸せになりたい……。なんか脱力しました」
失礼ながらそれが面白くて笑っていると、すぐにパッと顔を上げる。
「でもやっぱり私もそんなこと言ってみたい!よし!幸せお裾分けしてもらったって考えて、また出会いを求めて合コン開いてお二人に負けないくらい幸せになってみせます!」
「う、うん。頑張れ」
その切り替えの速さは相変わらずだ。
「じゃ、金山さん!失礼します!」
「はは、またねー」
逞しい後輩の姿に、私も元気をもらって手を振る。
するとすれ違うように眞宏が私を見つけて走ってくる。
「あ、金山、ちょうど良かった。ランチ行こ!……ん?どうかした?」
「眞宏。お疲れ。ちょっと白石ちゃんに絡まれてた」
その一言でどんな会話があったのか察したのか、眞宏は面白そうに笑う。
「ははっ、白石ちゃんは今でも課長ファンだからね」
「個人的にはなんとも複雑ですけど」
「何を言うか。お互いのことしか見えてないくせに」
「なっ……」
恥ずかしさに眞宏の肩をバシンを叩くと、私の反応が面白いとばかりにまた笑い出す。