冷徹上司の、甘い秘密。
「……課長って、もしかして本当は超甘党なんですか?」
甘い物嫌いで通っていた人がものすごい勢いでケーキを食べている姿は違和感でしかなかった。
それを思い出して聞くと、課長の顔がみるみる内に甘く染まって。
「か、課長?」
こんな飛成課長、初めて見た……!
いつも無表情で冷静沈着なあの課長が!厳しくて怖いで有名なあの課長が!照れてる!
「……かわいい」
ぼそり。思わず呟いてしまった声に課長の肩がビクッと反応する。
それにまた恥ずかしそうに顔を手で覆った課長。
次々出てくる新鮮すぎる反応に、私は思わず笑ってしまう。
「……何だよ」
「すみませっ……ふふっ、普段の課長と違いすぎてっ……あははっ」
不貞腐れたような表情が、また面白い。
一頻り笑った後、そういえば、と思い出す。
「いつも会社で私ブラック淹れてましたけど、もしかして……?」
「……あぁ。本当はブラックは苦手だ」
「ぶふっ……」
「笑うな」
「いやだってっ……私何年ブラック淹れてました?言ってくださればカフェオレにでもしたのに」
「この歳でこんな顔で、甘党でコーヒーも飲めないとか引くだろ……」
恥ずかしそうな声は、段々と語尾が小さくなっていく。
それがまた可愛く見えてしまった。