冷徹上司の、甘い秘密。
「ん?あぁ……まさかお前から誘ってくるなんて思わなかったな」
バッチリと昨夜の情事を思い出してしまって、顔から火が出そうになる。
いくらなんでも優と別れたその日に……!これじゃただの痴女だ……!
恥ずかしさと後悔と、よくわからない感情で顔を真っ赤にしながら声にならない声を叫ぶ。
課長はそんな私を見て。
吹き出すような、そんな声が聞こえた気がして顔を上げた。
「ははっ……本当お前、面白いな」
くしゃっと目尻に皺が寄って。いつも下がっている口角が上がって。その奥から見える、白い歯。
初めて見る課長の純粋な笑顔は、思っていた以上に幼くて。
ぶわあ、と言葉にできないくらい、全身の感情が昂る。
「……どうした?」
「……あ、いや」
「ん?」
「……課長って、笑うんですね」
「なんだそれ。そりゃあ俺も人間だからな」
「初めて見たので、びっくりしました」
そう言うと穏やかに微笑んだ課長。
それが凄く綺麗で、なんだか嬉しくて。
「……課長の笑顔、素敵ですね」
つられるように、私も笑ってしまった。