冷徹上司の、甘い秘密。
洋画はやはり大スクリーンで臨場感を味わいながら見るに限る、と私は思う。
スピーカーから聞こえる迫力のある音が、アクションシーンの面白さを増してくれる。
課長と二人で並んで鑑賞する映画。
あれだけ甘いものを食べたのにキャラメルポップコーンを注文した課長を見て思わず笑ってしまった私。
課長からの圧を感じる視線から逃れるようにすぐさま指定された席へ向かった。
「お一ついただいてもいいですか?」
上映前、ポップコーンを指差して聞くと何も言わずに容器を傾けてくれた課長にお礼を言う。
映画が始まると正直映画に集中しすぎてポップコーンの事など頭から抜けきっていた。
明るくなったシアター。隣を見ると空っぽの容器。
どうやら無事に全部課長の胃の中に納まったようだ。
「面白かったですねー!」
「あぁ。特に最後のシーンが感動的だった」
「わかります!あそこ良かったですよね!」
二人で感想を言い合いながら映画館を出ると、午後十八時を回りそうな時間。
「じゃあ、そろそろ帰りましょうか」
呟くと、驚いたように目をまん丸くした課長。