冷徹上司の、甘い秘密。
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「さぁ!詳しく聞かせてもらうわよ!」
「いや、そんな面白い話じゃないんだけど……」
「面白いかどうかは私が決める!」
「んな横暴な……」
終業後。相田に引き摺られるように拉致された私を同僚達は可哀想なものを見る目で見ていた。
助けて!と同僚たちに視線を送ったものの、皆一様に目を逸らされたのがなんとも切ないやら、憎たらしいやら。
とは言え、ここまで来てしまったものはもうどうしようもない。
駅前にある行きつけの和食居酒屋で向かい合いながら運ばれてきた刺身を食べつつ、お猪口に注いだ甘口の日本酒を一口飲んだ。
「ほら!早く話して!」
「は、はい……」
何から話せばいいか、考えている間にも目の前から急かすような声が聞こえ、面倒になって最初から話し始めた。
───私には、付き合って三年になる彼氏がいる。
出会いはまぁ、友達の紹介なんて言えば少しは聞こえが良いけど、要は合コンだ。
大学時代の友達に頼むから来てくれと半強制的に連れて行かれた先、そこで同じように人数合わせで来ていたのが今の彼氏、優だ。
私はその時、前の彼氏と別れて数ヶ月しか経っておらず、まだ新しい恋人を作るなど全く考えていなかった時期。
正直頼み込まれたから行っただけで相手の男性陣などどうでもよくて。放っておいて欲しかったというのが本音。
優は優で、女運が無いとかで誰かと付き合っても最終的に振られてしまうことが続き、傷心中だったらしい。