冷徹上司の、甘い秘密。
Fourth


*****


 数日後。


「……出張ですか?」


「あぁ。明後日から一泊二日だ。もし外せない予定があれば別の奴連れて行くがどうする?」


「大丈夫です。ご一緒します」


「そうか。なら初日の朝の便で行くから明日までに準備しておけよ。急で悪いが」


「わかりました」



 課長が長年口説いてきた企業の東京本社の方とありがたいことに商談の機会を得ることができ、課長と付き添いで私も同行することになった。


 課長とは数回一緒に出張に出向いたことがある。飛行機代や泊まる場所は会社側が手配してくれるためその辺の心配はいらない。


 こういう時に、一番に声を掛けてくれるのは単純に認めてもらっているようで嬉しい気持ちになる。



「あとその時使う資料をいくつか送っておくから出来れば明日までに見繕って纏めておいてくれ」


「はい。わかりました」



 商談は課長がメインで行う予定のため、私の役目はその商談時の課長のサポートだ。


 商談で有効に使えそうな資料を纏めなくては。


 幸いなことに私も今は大きな案件は抱えていない。二日間くらい、私がいなくても後輩達で問題無く回せる業務ばかりだ。


 家に帰り、久し振りの小さめのスーツケースをクローゼットの中から引っ張り出してきて必要なものを入れて行く。出張は旅行ではないため荷物はそこまで多くはならない。


 一泊のみのため、準備はすぐに終わった。


 "急で悪いが明日からよろしく頼む"


 寝る直前に届いたメッセージ。


 "いえ、こちらこそよろしくお願いいたします"


 返事をして眠りについた。

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