冷徹上司の、甘い秘密。
そして出張に出発の日の朝。
「おはようございます」
「おはよう。行くか」
「はい」
空港で待ち合わせした私達は朝一の便で東京へ。
一時間弱で目的地の空港に降り立ち、電車で都心から少し離れた駅へ向かう。
「今日はこのまま向こうの担当者と顔合わせも兼ねて少し会議をしようと時間をいただいているから」
「かしこまりました」
通りで大分早めに出たわけだ、と合点がいった。
電車を乗り継いで着いた先は、オフィス街。
その内の一つである今回の目的の会社へ足を進める。高いガラス張りの建物から太陽の光が反射して眩しい。
「こちらでかけてお待ちください」
「はい。ありがとうございます」
応接室に通された私達は出されたお茶を一口飲み、相手方の担当者を待つ。
数分して現れたのは百九十はあるのではないかというくらいのすらりとした長身、それに見合う長い手足。そして見惚れる程の、綺麗な顔。
う、美しい……!
課長とはまた違ったタイプのイケメン。
例えるならば課長は孤高の王様みたいな、第一印象は近寄りがたい雰囲気。
対してこちらの方は、キラキラした王子様のよう。
この笑顔で何人の女性を落としてきたのかと思ってしまう程。
「初めまして。私、KKの堀井と申します」
「私、R.foodsの飛成と申します」
「同じく、金山と申します」
お互いに名刺交換を終えると、早速本題に取り掛かった。