冷徹上司の、甘い秘密。
レストラン、と言いつつも和食の小料理屋をイメージしているのか、柔らかいオレンジ色の照明と出汁のいい香りがなんだか落ち着く。
注文した料理も、どれも出汁が効いてて薄味なのにしっかり旨味を感じる。
ほろほろの豚の角煮はオススメされた日本酒との相性もバッチリだ。
「明日はどちらに?」
「明日は午前中に一社だけだ。後はそのまま夕方の飛行機で直帰予定だからお前も直帰でいいぞ」
「そうですか。わかりました」
デザートにわらび餅があり、たっぷりの黒蜜ときなこが甘くて美味しくて。
同じくわらび餅を食べていた課長の表情が柔らかくなったのを、私は見逃してはいない。
「課長は和菓子も好きなんですか?」
「あぁ。洋菓子の方が好きだけどな」
「何のスイーツが一番好きなんですか?」
「一番はシュークリームだな。クッキー生地のサクサクしたのが美味い」
「わかります!私も好きです」
スイーツ談義に花が咲く。