冷徹上司の、甘い秘密。
注文した料理を全て食べ終え、残った日本酒をお互いに注ぎながら静かに飲む頃にはもうお腹一杯で。ちびちびと飲む甘口の日本酒は口当たりがまろやかでとても美味しい。
「……明日の飛行機までの時間、ここに行かないか?」
差し出されたスマホの画面には、有名なケーキ屋さんのホームページが。
季節のフルーツのタルトが艶々していて、満腹のはずなのに食欲を刺激される。
「行きたいです!行きましょう!」
私の勢いに少しだけ驚いた課長は、すぐに表情を崩して笑った。
「餌を前にした犬みたいだな、お前」
「何ですかそれっ」
それを見て私も笑う。
穏やかな時間が流れていた。