冷徹上司の、甘い秘密。
食事を終えて一度部屋に戻り、大浴場へ出向いた私はゆっくりと広いお風呂を堪能。
仕事量ではいつもの半分以下なのだが、慣れない土地ということもあっていつも以上に疲れたような気がする。
……課長との同じ部屋で寝るのか。緊張する。
そうは言っても一緒に寝るの初めてなわけじゃないし。
お湯に浸かりながらそこまで考えて、慌てて首を横に振った。
「だめ。こんなこと考えてたらのぼせるわ……」
スキンケアをして髪を乾かして。
持ってきていたスウェットに袖を通し、部屋に戻る。
「ただいまもどりました」
「あぁ、おかえ……り……」
「課長?どうしました?」
私を見て固まってしまった課長は、どうやら部屋のデスクで仕事をしていたようで。
デスクの上には明日の資料が並べられていた。
課長もお風呂上がりでラフな格好にぺたんこになった髪の毛が"オフモード"という感じ。
ほかほかに温まったのだろう。頰が火照っている。
少しして一つ咳払いをした課長は、何事もなかったかのようにまたパソコンに向き直る。
その不自然な行動に首を傾げながらも、備え付けの冷蔵庫の中に入れておいたミネラルウォーターを取り出す。
コップにたっぷりと注ぎ入れ、課長のパソコンの横へ置く。