冷徹上司の、甘い秘密。
翌日に出勤すると、早めに来たからか珍しくまだ片手で足りる程の人数しかおらず、大分静かだった。
……そわそわしてしまってあまり眠れなかった。
この歳になると寝不足はお肌に悪い。
ファンデーションのノリを手の甲で確認しながら給湯室にお土産を置き、次々に出勤してくる部下達にご自由にどうぞと伝えてから溜まっている仕事に取りかかった。
私がいない間も業務には全く問題が無かったようで安心した。
「おはようございます」
「あぁ、おはよう」
しばらくして課長が出勤してきて。同じように皆にお土産があることを伝えてすぐに朝礼。
始業時間になった。
溜まっていた仕事をこなしているとあっという間にお昼の時間になったものの、ランチの誘いに来た相田に断りを入れて今日はコンビニで買ってきた飲料タイプのゼリーを吸い込む。
うちの会社は大体の人が外に食べに行くため、すぐにフロアには誰もいなくなった。
静かな空間での仕事は捗るもので。
たまに鳴り響く電話に出ながらパソコンのキーボードを叩いていた。
どれくらい集中していたのだろうか。コト、という音がすぐ近くから聞こえてハッとそちらを向く。