冷徹上司の、甘い秘密。



「……私までいただいちゃっていいんですか?」


「あぁ。その為に持ってきた」


「え?」


「お前と一緒に飲もうと思ってたから」



 そう言って笑った課長に、思わずココアを吹き出しそうになる。



「どうした?」


「なっ、何でもないです……」



 唐突の笑顔とその言葉に心臓を鷲掴みにされて吹き出しそうになりました、だなんて言えない。



「凄く嬉しいし美味しいです。ありがとうございます」


「……あぁ。喜んでくれたなら良かったよ」



 課長も表情を緩めてくれた。


 すぐに他の社員達がランチから戻ってきたこともあり、私達の会話はそこで終わる。


 その時の課長がココアを飲み切ってカップを捨てるスピード感ときたら。


 俊敏すぎて笑いが止まらなくなりそうだった。
そんな笑いを堪える私を課長はじとりと見つめて。


 私はそれに気付かないふりをして。


 そんなやり取りも楽しくて幸せに感じていた。


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