何か、どこか、ひとつ
                ’怖い’


目が覚めた




周りは真っ暗




どこからか声がする





”お前生きてんの



”なんで生きてんだよ!




”お前なんか死ねよ





突然息が苦しくなる






「ハァ、、ハァ、、イヤァァァァ!」




叫び声が聞こえた桐谷さんが部屋へ入ってきた





「助けて、、、助けて、、、やめて、、」




「おい!大丈夫か!」




「いや、、、いや、、もういや、」




抱きしめられた



「大丈夫、大丈夫、大丈夫」



背中をさすりながら声をかけていた




「やめて、触らないで、殴らないで」




桐谷さんは驚いた顔をした




「ハァ、ハァ、ハァ」




「大丈夫だ」



「死にたい」




「は?」




「殺してください」






「お前は生きろ、俺と生きろ」





私は桐谷さんから離れた




部屋を出てキッチンへ行く





包丁を探した





棚や引き出し、どこを探しても何もない



力が入らなくなり座り込んだ




「お前を殺さない、自殺させない」
「俺がお前を助ける、お前の居場所、
 人生を作ってやる」




涙が流れた




何年ぶりかに泣いた




涙が溢れて止まらなかった




桐谷さんはずっと抱きしめていてくれた




「私、あなたと生きる」




「おお」



「私を助けて」




「わかった」





初めて救いを求めた





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