ちゅ、
保育実習をやめてから数ヶ月経って
ようやくどうでもいいやと思えた
保育士を目指した私も
やめて将来に迷ってる私も
どっちも変わらず私だから
私が今やりたいことをしようと思った
大学三年生の夏に二重まぶたにする整形手術を受けた
整形と言っても手術時間は五分ほど
思ったより何事もなく理想の二重を手に入れた
二重にしてから化粧が楽しくなって
自分を少し好きになれた
その次の年の四月、ドラマ作品にどハマりして
五月からオフ会に参加して
人生を変える出会いをたくさんした
1クールのドラマの繋がりで一年半遊び続けた
ほとんど毎週新しい人と出会って
しゃべって笑っていろんなところに出かけて
そして、たくさんの私を褒めてもらえた
身長がかわいい
顔がかわいい
リアクションがかわいい
スタイルがいい
性格がいい
頭の回転が速い
話がおもしろい
化粧がうまい
手芸がうまい
実際の私がかわいいかどうか、化粧や手芸がうまいかどうか、そんなことは問題じゃなくて
褒められる経験がほとんどなく、自己肯定感がほとんどなかった私には的外れな褒め言葉でさえ、全てが嬉しかった
褒められた時、素直に喜んでいい
私は誰かしらに褒められる存在で
私は誰かしらに憧れられる存在で
私は誰かしらに羨まれる存在で
私は愛されるべき存在なんだ
私はかわいい
そう思っていいのだと気付いた
一部の誰かが私を嫌いでもそれが私への評価の全てではない
私を嫌いな誰かは私を妬んでいるだけかもしれない
一年半の出会いの中でようやく私を確立した
私は社会人になっていた