One week or more?
「知子さんて実業家なんだね」
「あら、そうなの? 知らないわ」
「名前で検索したら出て来たよ、ほら」
 そう言って寛明はPCの画面を麻衣子に向けた。
「あー、お父さんの会社を継いだんだわね。流石だわ」
 ライティングのせいで新橋の店とは一見すると違って見える背景の前に、知子はカチっとしたビジネスの装いで写っていた。いい女だ。
「興味あるなぁ」
 と寛明は言った。
「美人だしね」
「うん、それもあるけど、実業家としての面で。俺、マーケティングが専門だから今後に繋がったらと考えてる」
「知子の会社には既にその部門があるんじゃないかな。お父さんの代から事業の拡大はしてたと思うから」
「うわー、就職さしてくんないかなー」
「もうそんな時期?」
「うん、博士論文通るから卒業」
「自分でリクルートしてね。私が紹介しても良いけど、それだとコネ入社になってしまう」
 そうか、来年には寛明はもう社会人なんだ。たのもしく成長したもんだと麻衣子はますます寛明が眩しく見えた。
「海外展開するんだったら、俺、頼りになると思うんだよなー」
 知子の会社に寛明が就職したら、寛明は知子の良いパートナーになるような気がした。歳の差婚も有り得る。知子とならお似合いだ。こないだ寛明は不届きなことを言っていたけど、相手が知子なら寛明に変なことをさせないよう、私が見張ってやろう、と麻衣子は思った。
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