One week or more?
Epilogue
 麻衣子は帰国してすぐ新橋の知子の店に向かった。
 麻衣子がケアンズに赴任している1年の間に、大きな動きが1つあった。知子と寛明の間に子どもが生まれたことだ。
 妊娠した、と報告があり、大きくなって行くお腹の写真、胎児のエコー画像が送られ、そしてクリスマス前に無事男児出産。知子はますます美しく、美しいまま母親になった。
 結婚式には赤ん坊も出席することになる。二重におめでたい。
 店に着くと、寛明の腕の中で赤ん坊がすやすやと眠っていた。
 抱かせてもらうと思ったより軽く、ふやふやと柔らかい感触に、麻衣子自身心の底から子どもを産みたいと思った。
 美容師の晶は、1年間伸び放題にしていた麻衣子の髪を見て、出会った時と同じだと言って笑った。そして、明日晶の店に行く、と麻衣子はその場で予約を入れた。

 あ、そうだそうだ、出発前に麻衣子の海外赴任を告げられなかった拓郎は、雨季に入った1ヶ月の間麻衣子の居るケアンズに滞在していた。どうして教えてくれなかったとふくれっ面をして空港のゲートから出て来た拓郎を見て、麻衣子は大笑いした。仕事を1ヶ月休んでまで麻衣子を追いかけて来るとは。
 それを聞いた貞臣が呆れ、そしてちょっと嫉妬していた。そんな貞臣も、拓郎とバトンタッチするかのように、買い付けと称して何故かケアンズ経由でスペインへ行ったのだ。貞臣はこれからも麻衣子にプロポーズし続けるつもりでいた。
 力は大晦日のパーティーの写真をまるで卒業アルバムのように仕上げてくれていた。知子たちの結婚式のカメラマンも引き受けてくれ、きっとまた素晴らしい写真集が出来上がることだろう。実業家としての知子を追跡する企画の他に、母になった知子の特集も組まれることになった。今や知子はテレビにもひっぱりだこなのだ。
 慎吾は麻衣子が居ない間に広い部屋に引っ越した。麻衣子の部屋を用意するためだ。通勤の拠点になるように東西線沿線にした。それを麻衣子が喜ぶかどうかはわからないが、麻衣子の人生の邪魔にはならないはずだと判断した。慎吾はいつでも麻衣子を優先に考えている。
 もう1人居た、武夫。どうでも良いか(笑)

              【完】
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