ため息のわけを教えてください
「お客さまからあまりにも不評だったので、中止になって、従業員への配布になって」
バーコードさんは物欲しげに、紙袋の中を覗いている。
「よかったら、少し持って行きますか?」
紙袋を差し出すと、彼は紙袋の持ち手の部分を引っ張った。
「おいおいおい」
相席だった男性が席を立った。耳栓を外すように手振りで伝え「彼女は少し、と言ったんだよ」と、説明までしてくれている。興味深そうに、店員の女性が近付いて来た。事情を簡単に話すと、紙袋の中を覗きこんで、一枚つまみ上げた。
「文字なんて印刷されてるだけで、開けちゃえば全部かわいいハートじゃない。外見ばっかりを気にするような、人間の小さい男は相手にすることないわよ。食べ物を無料でもらえるなんて、ありがたいことなんだから」
ねえ、と彼女は大福さんに同意を求めた。どんな反応をするのかと思えば、彼は唇の端だけを吊り上げて、不器用に笑っている。
店内は義理クッキーの話で盛り上がり、店にいる全員にクッキーを渡すことになった。チョコの味に深みがあると好評で、バーコードさんが独り占めしようとしたことに、共感する人までいた。ますます「義理と書いてあるからなんだ?」という流れになっていく。
バーコードさんは物欲しげに、紙袋の中を覗いている。
「よかったら、少し持って行きますか?」
紙袋を差し出すと、彼は紙袋の持ち手の部分を引っ張った。
「おいおいおい」
相席だった男性が席を立った。耳栓を外すように手振りで伝え「彼女は少し、と言ったんだよ」と、説明までしてくれている。興味深そうに、店員の女性が近付いて来た。事情を簡単に話すと、紙袋の中を覗きこんで、一枚つまみ上げた。
「文字なんて印刷されてるだけで、開けちゃえば全部かわいいハートじゃない。外見ばっかりを気にするような、人間の小さい男は相手にすることないわよ。食べ物を無料でもらえるなんて、ありがたいことなんだから」
ねえ、と彼女は大福さんに同意を求めた。どんな反応をするのかと思えば、彼は唇の端だけを吊り上げて、不器用に笑っている。
店内は義理クッキーの話で盛り上がり、店にいる全員にクッキーを渡すことになった。チョコの味に深みがあると好評で、バーコードさんが独り占めしようとしたことに、共感する人までいた。ますます「義理と書いてあるからなんだ?」という流れになっていく。