すてきな天使のいる夜に~3rd story~
「沙奈、今日も放課後補習はあるのか?」
高校3年の2学期に入ってから、自分の苦手教科を考えながら自分で選択して補習を受けている。
補習も希望者のみが集まっての授業だから、人数も少ない。
「うん。今日は生物学の授業があるの。」
「そうか。最近、気温も下がったし外が暗くなるのも早いから帰りは学校まで迎えに行くよ。」
10月に入って、気温が低くなり元々平熱が低い私は今まで以上に体温調節に慎重にならなければいけなかった。
私のお弁当の準備を終えて、紫苑はそう言いながらお弁当の入っているバックを渡してくれた。
「だけど、紫苑。今日は外来の診察があるから帰りは遅くなるんでしょ?」
今日は外来の診察介助ではないし、紫苑の患者さんはたくさんいるから、帰りはいつも遅くなるよね?
「それでも沙奈が心配だから。
教室は冷えるし寒いと思うから、とりあえず保健室で待っててくれる?
18時頃までなら保健室の先生もいてくれるだろうから。」
「分かった。ありがとう、紫苑。」
「いいんだよ。
それより、今日も体調は大丈夫か?」
「うん。最近、落ち着いてるから大丈夫だと思う。」
ここ最近は、体の調子も良くて検査の結果も良いって大翔先生も言っていた。
通院の回数も、今は2週間に1回程。
通院の回数は減っても、大翔先生は時々私に会いに来てくれたり、一緒にお出かけに連れて行ってくれる。
連絡も、毎日とっていてその1つ1つのメッセージが私の励みになっていた。
「じゃあ、そろそろ行くね。」
高校3年生になってから、教科書と参考書が増えてさらにリュックが重くなる。
「気をつけて行ってらっしゃい。
学校に着いたら、必ず連絡してね。」
「うん。行ってきます。」
紫苑に手を振ってから、私は家を出た。