オスの家政夫、拾いました。1. 洗濯の変態編
名声通り、国帝ホテルの会場は派手だった。受付を済ませ中へ入ると、早速佐藤くんの姿が見える。彩響に気付いた彼が早足でこっちへ走って来た。
「主任!来ましたね。待ってました!」
「お疲れ様。佐藤くん、他の皆は?」
「皆あっちこっちで挨拶周りしてるっす。いや、俺マジでこんな場所苦手で。主任が来るのずっと待ってました。…今日、その格好めっちゃおしゃれっすね」
佐藤くんがドレスの感想を言う。さすが、こだわりの多い家政夫さんの判断は正しかったらしい。
「まあね。発表会までまだちょっと時間あるから、あなたも関係者に挨拶回って来て」
「え、俺一人ですっか?」
「それくらいできるでしょう。さっさと行っておいで。私も回ってくるから」
嫌がる佐藤くんの背中を押して、彩響も三々五々集まっている人たちの中へ入り込む。大半は出版関係者の人たちで、残りは作家の家族か、親友なんかの枠内に入るらしい。その中の一つの集団で、大山編集長の姿が見えた。
「おー来たか、峯野」
「すみません、遅くなりました」
「で、こちらが私の部下の峯野です。唯一の女性社員で、とても有能な人材です」