性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

あまりに唐突に突拍子もない事を言いだすものだから
隣で私は朝から車内に響くボリュームで発狂。

当人からは『うるせーよ』と左耳を押さえながら嫌悪感を出される始末。

「か、家族に紹介って…」

悪い予感しかないけれど
聞かないってわけにもいかず
恐る恐るだが勇気を持って訊ねてみた。

前置きも9割の説明もなく
残りの1割に飛び出した発言が
”家族に紹介します”って
誰が聞いたって…《《そういう事》》、でしょ?

私の想像が正しければ
紹介って…まさか、”挨拶”という事なんじゃ…

「着けばわかる」

それだけ答えて
彼は車を走らせる。

いや、着いてからでは遅いんじゃないんでしょうか・・・


私の(心)の抵抗と葛藤も空しく
車が到着した先は、氷彗の父が長を務める総合病院…の隣。
3階建ての建物だが
敷地も含めて横に広く随分と立派な広さがある。

入り口には”高齢者施設”との表記。
それを見て、すぐにピンときた。

「家族に紹介って
 もしかして…私の前の大家さん?」

「そ。俺の爺さん。
 今ここに入所してんだ」

「そう…なんだ」

車を降りた私達。
先をどんどん進む壱琉に
歩くスピードを合わせて少し足早についていく。

エレベーターに乗り込み向かった先は2階。
外観も広かったけれど
その答えは廊下の長さにあった。
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