性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
わかりやすく言えば、マンション…みたいな感じ。
各部屋に番号が書いてあって
皆さんそこで生活しているようだ。
そして壱琉が止まった場所は、真ん中の部屋。
ノックもなくガラガラ…と引き戸を開け
ズカズカと中へお邪魔していく。
「爺さん、連れてきた」
「そうか…
すまなかったな、壱琉」
声を掛けた相手は車椅子に腰掛け新聞を読んでいたが
壱琉の姿を見るなり嬉しそうに微笑んだ。
その表情は
あのアパートに住んでいた頃に会った時と一緒で
ちょっとホッとした。
「大家さん、お久しぶりです!
蓮見ですッ」
「大家だなんて、止しとくれ。
今はただのオンボロじゃよ、蓮見さん」
『そちらへ』と来客用の椅子を指さす大家さんに軽く一礼し、座らせてもらう事に。
「急に呼び出したりして、すまなかった。
どうしても蓮見さんに直接謝りたかったんじゃ」
「謝りたい…?」
「ワシの都合で
あのアパートを追い出すように立ち退いてもらってしまったから…」
「え…」
「急な事で困っただろうに…
本当に申し訳ない」
悲しそうに頭を下げる元大家さんに
私は首をブンブン横に振った。
「月影さんは悪くないッ!」
否定する気持ちが上回り
つい興奮気味に声を張ってしまうと
月影さんは少し驚いたようで
顔を上げて目を丸くしている。