性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
勝手に想像を巡らせながらシートベルトをしていた私。
”また勘違い”
その意味に首を傾げた。
「爺さんが言ってた”両親がいない”って
別に死別とか離婚とか
そういうんじゃねーぞ」
「えッ…」
「海外赴任中で
もう何年も帰ってきてない」
「そ、そうなのッ!?」
思わずワッと声を上げたので
『やっぱり勘違いしてたか』と
また呆れながら溜め息を吐かれた。
「俺が幼い頃から父親は海外出張が多くて
高校卒業するときに母親と一緒に海外生活を始めたんだ。
だから俺は爺さんと日本に残って
一緒に暮らしてたってわけ」
想像と全然違って
悲しいって理由なんかじゃなかった。
それなのに私は
勝手に悪い方に考えていたんだ…
「壱琉、ごめん…」
「別に良い。
爺さんが誤解を招く言い方したんだ。
《《近くには》》いないんだから
同じようなもんだしな」
『申し訳ない』と俯く私に
彼は運転しながらもフォローの言葉を掛けてくれた。
家庭の事情は、人それぞれ。
だけど理由も知らずに勝手に決めつけるのは良くない。
肝に銘じておこうと思う。
「今日アンタを連れ出したのは
爺さんに会わせるためだったから
俺の用事は終わりだが――――」
途中まで言い掛けて
壱琉はなぜか公園の駐車場に車を停めた。