性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

都会から私達が住む家の中間部に位置するその公園は、《《こぢんまり》》としていて昼間でも薄暗く、人の気配を一切感じない。
どちらかと言えば”休憩所”のようなところ。

「何?
 突然こんなところに来て…」

そう訊ねると
彼は私に顔を向け
ヤケに真剣な顔で言う。

「あの日バルコニーで
 氷彗と何してた」

「え…」

怒気が加わっているような
少しも目を逸らしてはいけない圧力さえ感じる。

「いきなり…どうしたの?」

「どうもしない。
 聞いてるだけだ」

そりゃそうなんだけど
だから『どうして聞いてるのか』って意味で質問しているのに…。

「バルコニーって…
 見ていたの!?」

まさか抱きしめられているところを見られていたのかって
一気に焦りへと変わる。

「へぇ。
 やっぱり《《見られちゃマズイ》》こと
 してたのか」

「は、はぁぁあ?
 んなワケないでしょ!」

運転席の窓際に頬杖つきながら嘲笑う壱琉に
思わずムキになってしまったけれど…
あー…鎌かけられて
まんまと乗せられたな、私。

見えたワケがない。
そもそもあのバルコニー
外壁があるから外からは見えないようになっているんだから。

「何もないよ。
 氷彗のお父さんとの事があって
 2人でお酒を飲んでいただけ」

嘘は言ってない。
《《ただ》》言わない事もあるってだけ。
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