性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

「バカっ
 そんなこと思うわけないでしょッ」

いいように弄ばれている感があって
必死に否定する私を他所に
彼はようやく車を出発。

疲れた私は背もたれに体を預け
窓の外に流れる街中の景色を
ボーッと眺めていた―――――



家に到着したのは昼過ぎ。
車を降りて部屋に戻ると
そのままベッドの上に寝転んだ。

「暑いからかなぁ…
 なんか調子悪いな…」

腕で顔を覆い
『ふぅ…』と、一呼吸入れてみる。

環境が変わって体調を崩したのか
ただの気のせいなのか
わかんないけど身体が重い感じだ。

そうは言っても仕事は仕事。

「お昼ご飯…作らなきゃ」

気怠い身体を起こし
のっそりと階段をおりると
キッチンにはすでに2人の姿が。

「あ、ごめん。
 今作るから待ってて」

テーブルにパソコンを広げて仕事をする氷彗と
換気扇の下で電子タバコを吸う壱琉に伝え
私は冷蔵庫を開けた。

あー…涼しい。
さすが冷蔵庫。
今すぐこの中で冷蔵されたい気分。



水道で手を洗っているだけなのに
またボーッとしてしまう。
本当に暑さにヤられたのだろうか…

「おい、詩菜」

「え…」

すぐ隣から壱琉に声を掛けられて
ハッと目が覚めたような感覚に戻った。

「ご、ごめんッ
 ボーッとしてたッ
 な、何?」

「…」

聞き返しながら
コンロ下の棚を開け包丁を取り出そうと前屈みになった。
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