性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

その時、なんの前触れもなく
突如襲われた目眩。

「…ッ」

グラっとバランスを崩しそうになるけれど
すぐさま手を差し出してくれたのは壱琉。
倒れそうになったところを
筋肉質の腕で支えてくれたのだ。

「調子悪そうだな」

静かに呟く声が耳に入り
頭の痛みに、こめかみを押さえながら
思わず頷いてしまった。

風邪を引いたって感じじゃない。
それとは別に身体に熱が篭った感じ…

「少し休め」

また同じように囁いた壱琉の声は耳に入るのに…
シャキッと体を動かすのが億劫で仕方ない。

「え、何どうしたの?」

氷彗も異変に気がついたみたいで
駆け寄ってきてくれて心配そうな表情をしている。

あらら
大事(おおごと)になってしまった。

「ほら、肩貸せ」

「はい…」

壱琉の肩に届かず、背中に手をまわすと
彼も私の腰に手をまわして支えてくれる。

そうして一歩ずつ歩き始めたのだけど…
氷彗が行く手を阻む。

「壱琉、待って。
 俺が連れてく」

「俺が行くからいい」

壱琉と氷彗の間に
見えないバチバチがあるように感じるの私だけ?
…と言うより
なぜバチバチする必要がある?

「私は1人で大丈夫だから。
 2人ともごめんね」

背中にまわしていた手をスッと降ろすと
支えてくれている壱琉から離れ
目の前を立ちはだかる氷彗の横を通り過ぎようとする。




 
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