性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

それなのに――――

「やっぱり俺が連れてく」

「え…」

グイっと軽く腕を掴んだのは、氷彗。
今度は彼が肩を貸してくれたのだ。

「私、歩けるけど…」

「うん。
 それでも心配だから」

「あ、うん…」

ほぼ強制的に氷彗が付き添ってくれ
2階の自分の部屋へ・・・

後ろで壱琉が頭を掻きながら
『ったく、勝手にしろ』って言った小さな声は
微かに耳に入っていた。



*****



部屋に入るなり
私はすぐにベッドに横になった。

食欲もあまりないし
なんとなく怠い。
夏バテかな。

「いつから調子悪かったの?」

「んー…いつからなんだろ。
 今朝は特に起きるの辛かったけど…」

「どうしたんだろう…?」

終始、氷彗は心配そうに険しい表情をしながら
気に掛けてくれていた。

引っ越してきて環境が変わったから
気温の変化についていけてないんだと思う。

それに何より
男2人の言動に頭を悩まされているから…だ
きっと。

「何か欲しいものはある?
 お水とか持ってこようか?」

「ありがとう…助かるよ」

『待ってて!』と言うと
慌てた様子で、すぐに部屋を出ていってしまった。

そこまでじゃないけど…まぁ、いっか。

氷彗が戻ってくる前に
部屋着に着替えようと気怠い体を起こすと
腕を交差させた状態で着ている洋服の裾を持って
上に捲り上げ…かけた。





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